ラムサール条約:賢明な利用(wise use)
ラムサール条約(条約が作成された地、イランのラムサールにちなむ):Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat、は湿地の保存に関する国際条約。
水鳥を食物連鎖の頂点とする湿地の生態系を守る目的で、1971年2月2日に制定、1975年12月21日に発効、1980年以降、およそ3年ごとに、ラムサール条約締約国会議(Conference of the Parties; COP)が開催されている。
2008年3月現在、ラムサール条約締結は158の国・地域で登録湿地は1,832ヶ所・約170万平方km。
日本における登録湿地:谷津干潟を含め37カ所(2008年11月17日現在)
※次の第11回締約国会議 (COP11) 2012年 ルーマニアで予定されている。
<概要>
ラムサール条約締約国は、動植物、特に鳥類の生息にとって重要な水域等を指定し、指定地は事務局の登録簿に登録される。
締約国は、指定地の適正な利用と保全について計画をまとめて実施する。
日本では当該湿地等を国指定鳥獣保護区の特別保護地区(鳥獣保護法)や生息地等保護区の管理区域(種の保存法)、国立公園・国定公園の特別地域(自然公園法)に指定し、法令に基づいた保護・管理を行う。
登録の対象は「湿地」であり、湿地とは、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含むとなっている。
■谷津干潟の登録は1993年6月10日。
谷津干潟は東京湾の最奥部に残された約40haの干潟で、水鳥・ゴカイ・貝・カニ・魚などたくさんの生き物たちが生息している。
北の国(シベリアなど)と南の国(東南アジアやオーストラリアなど)を行き来する旅鳥の中継地とし大変重要な場所となっている。
シベリアからオーストラリア・ニュージーランドまでその距離12,000km、その途中で羽を休め、ゴカイなどのえさを食べ、エネルギーを補給して、また南を目指します。この重要な「中継地」しての役目を谷津干潟は持っているのです。
また、最近ではセイタカシギが産卵し子育てを毎年おこなっている。
一年間に谷津干潟で確認された野鳥の種類は約100種(1994年)水辺の鳥は約60種。
■wise use
条約では、それぞれの加盟国が国内法で湿地を保全することを義務づけているが、湿地保全のあり方に
「賢明な利用(wise use)」と記載されている。
湿地保全のあり方として地域の人々の参加が求められている。
湿地保全については「賢明な利用」「市民参加」が原則とされているほか、その具体的な手法は各湿地にまかされています。
約1年前から野鳥の撮影を始め昨年谷津干潟観察センターの自然案内人セミナーを年間を通して受講。
思えば遠く、学生時代に勉強した「食物連鎖」いまではマクロ視野として「生物多様性」として国際レベルでの取り組みが行われている。
本年は名古屋で生物多様性の国際会議(COP10)が開催される。
身近な所から生物多様性について「気づき・考え・行動」をしていく時代が来ているような気がする。
その意味でも、ラムサール条約の「wise use:賢明な利用」とは何なのかを考える時でもある。
人の関わりが無く、そこに存在する「自然」(原生林等)。
長年の人の関わりが創り出した「自然」(里山・干潟・日本の森林等)。
「未来の子ども達からお預かりしている大切な自然」と、どのように向き合うべきか・・・
そして、どう行動するべきか・・・を問われている気がする。
※参考;谷津干潟観察センターHP
http://www.yatsuhigata.jp/about/index.html